THE 白露推珠 純米吟醸原酒 出羽燦々60 Concept Workers Colection

同じ山形県鶴岡市産でも、直前に飲んだ「不思議ちゃん」とは打って変わり切れ味の鋭い酒だ。強すぎない辛口で、程よい酸味を伴っている。後味にも辛みが膨らむ。原酒だが重苦しくはない。香りは控えめだ。
実は、酒蔵の竹の露には私は個人的に強い思い入れがある。というよりも大恩を感じる。

学生時代にミュンヘンを訪れた際、ナチス結党式が行われた他ヒトラーお気に入りの演説の場であったことでも有名なホープブロイハウスというビアホールで、同じテーブルに座ったドイツ人たちと盛り上がって1リットルジョッキの一気飲み競争をした。結果私のダントツの圧勝に終わり、周囲で見ていたドイツ人酔客から喝采を浴びてご機嫌になった。そんな事もあったくらいに私は際限のないビール飲みだった。実家で日本酒を飲むこともあったが、美味いと思ったことがなかった。
それが百八十度変わったのは、竹の露との出会いがあったからだ。それは青森県の古く由緒ある温泉宿でのことだった。大正時代に建てられた木造の素晴らしい建物での部屋食だったので、今日はビールではないなと考えて徳利を頼んだのだ。口にした瞬間に感動を覚えた。なんて美味い酒なんだ。私は思わず仲居さんに銘柄を聞いた。まさに、私の日本酒好きはその日から始まったのだ。当時住んでいた地域にはなかなか竹の露は売っていなかったが、日本酒好みはその後どんどん進行していった。
竹の露にはもう一つ思い出がある。一時期私は、会社の報償旅行で頻繁にハワイに行っていたのだが、あまりに回数が重なると今考えると生意気にも大分飽きてしまい、一度も海に近づくことなく日本に帰ることもあった。その頃、部下たちと分かれて一人ぶらぶらとしていて、今はドンキになっている場所にダイエーがあったので何気なく中に入ってみた。なんと。そこに竹の露が売られていたのだ。もちろん日本より割高ではあったが、嬉しくて嬉しくて何本も購入してホテルに帰った。

とても長くなってしまった。ともかく、私にとってこの酒蔵は特別な存在なのである。

 

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