〆張鶴 純米吟醸 生原酒 春しぼり

初めて〆張鶴の春しぼりの生原酒を飲ませてもらった。山田錦100%の50%磨き。樽酒の量り売りと同じ新潟県の酒屋から入手した。旅の出会いは大切だ。


酸味の効いた、若々しさが溢れて出ている生原酒だ。元気がいい。逆に言えば、旨味は控え気味で深みは薄い。春ならではのお酒だと思う。ラベルも若草色ベースで味わいにぴったり合っていると思う。

 

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〆張鶴 樽酒量り売り

新潟県でも数軒の酒屋のみに許された〆張鶴の樽酒量り売りだ。去年新潟旅行した際に出会った酒屋さんが幸運にもたまたまそのうちの一つで、今回初めて入手する事が出来た。


ぐい呑みに注いだ瞬間から樽香が漂って否が応でも期待が膨らむ。

口に含むとやはり辛味から入ってくる。直球系の新潟酒らしいアプローチだ。樽の風味は終始存分に味わえる。幸せを感じた。

瓶が存在しない時代の昔の人は毎日こういう酒を飲めていたのかな。そう思うと少し羨ましくなった。

 

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榮光冨士 純米大吟醸 ~ザ・プラチナ~

榮光冨士の冨士酒造が現在進行形でいったいいくつの銘柄を産み出しているのか今や全く分からない。次々とキャッチーなラベルの酒が登場してくる。この酒は、精米歩合なんと33%の純米大吟醸の生原酒だ。雪女神という初めて聞く酒米を使用している。


辛味でも酸味でも旨味でもなく、絶妙な苦味感が最初に来る。そう。私が勝手に粉薬的味わいと呼んでいるあの感覚だ。それから様々な要素が混じり合って口内に膨らんでいく。無濾過生原酒らしいピリピリ感も適度だ。なんという美味さ。思わず唸ってしまった。私の好みのど真ん中である。

酒王国の一つ山形県の中でも一、ニを争うほどの実力蔵だと思うが、多分まだ転売ヤーにあまり注目されていないのだろう。比較的容易に入手出来るのが嬉しい。

 

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新政 陽乃鳥

久しぶりの陽乃鳥。考えられない程のプレミア価格で流通するようになってから随分と経つが、今回も長い付き合いの「いつもの酒屋さん」からもちろん定価で回していただいた。せっかくなので、年に何度かあるアニバーサリーデイに開けさせてもらった。
唇に触れた瞬間に、旨味全開のアタックを受ける。控えめではない、正真正銘の甘口だ。と思った直後に酸味が喉に残るから、一瞬フルーツジュースかなと勘違いしそうだ。日本酒特有の舌先でのベタつきもほぼ感じられない。一方で好ましいピリピリ感はある。そういう意味では、日本酒に苦手意識を持っている人にも受け入れられるだろう。
仕込の際に水の代わりに酒を使う貴醸酒としては最高の出来上がりと言って良いと思う。人気があるのは頷ける。
ただ。何度書いたか覚えていないが、転売ヤーというクズ共をなんとしても退治したいと改めて思う。多くの人がこの酒蔵渾身の酒を楽しめるために。

 

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松の司 あらばしり 純米吟醸

香りは案外愛想がない。ツンと澄ましたご令嬢という印象だ。(なんたる昭和チックな表現)つまりは、華やか系ではないという事だ。媚びない姿勢はこれはこれで逆に存在感がある。
口に含んだ瞬間に感じる一番の個性は品のいい酸味だ。あらばしり生らしく喉奥に突っ込んでくるパンチもある。ああ、春だなぁと感じさせてくれる。後味にじわじわときっちり旨味も滲み出てくる。
久しぶりに飲んだ松の司。グレードの高い酒蔵だと改めて感じた。

 

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花陽浴 純米吟醸 無濾過生原酒 美山錦

多分私が一番好きな酒蔵だと思う。人気が出過ぎて頻繁に飲めなくなってきただけに、時折入手出来た時は余計にテンションが上がる。


相変わらずとびきり美味い。一口含んだ瞬間から旨味が口いっぱいに爆発する。後味に渋味苦味も微かに残る。酸味も含めて絶妙にバランスを保ってハーモニーを奏でる。そして幸せな気分に包まれる。


いつも書いているが、世の中から転売ヤーを完全駆逐したいものだ。私のように定期的に定価で回してくれる酒屋を確保出来ていない人は、きっとプレミアをつけた価格が馬鹿馬鹿しくて敬遠してしまう事だろう。結果銘柄を見ても飲みたいと思わなくなる。真剣に酒造りをしている酒蔵にとって何もいい事がない。日本酒文化を守る上で百害あって一理なしだ。

 

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鳳凰美田 髭判 純米大吟醸酒 無濾過本生

なるほど香りの高さでは日本有数かも知れない。それだけで深い満足感を与えてくれる。そしてその直後に一人頷きながら飲む一口目の旨味の膨らみがさらに頬を緩ませる。がぶがぶ飲むべき酒ではない。ゆっくりゆっくり味わいながら杯を重ねていく。嗜むという表現を使いたくなる。そんな酒だと思う。日本酒はこれくらいの幅が楽しめるのだ、と是非海外の愛好家たちにも勧めたい。

 

「髭判」の意味については裏ラベルご参照。

 

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