王祿ブラザーズ
山陰松江の気鋭の若き杜氏と評判をとってから随分と時間が過ぎたが、今なお高い人気を誇る王祿を醸し続けている石原丈径氏。全国レベルでのスター杜氏だ。話題を集めてから長い月日を経たのでもう五十代にはなられているだろう。私の中の記憶にはかなりストイックなイメージで残っている。
今もなかなか関西の店頭ではお目にかかれないが、幸いにも私が常用している酒店三つのうちの一軒からはいつでも普通に入手出来る。
とは言え、今回久しぶりに飲ませてもらった。私の大好きな旨味爆破系とは対極にあるような切れ味抜群系の酒なので、日々嗜むという感じではないのだ。
今回は純米超王祿の2本を飲み比べてみた。どちらも精米歩合60%無濾過酒だが、グリーンボトルの方が限定120本の直汲・中取りという希少酒でアルコール度数17.5というやや強めの酒だ。もう一本の方はアルコール度数15.5の本生仕様という王祿レギュラーの酒だ。
今回は、直汲・中取りの方の感想を記したい。
香りは控えめで口に含んで咽喉の入口くらいまでは王祿らしいからりとした潔い味わいなのだが、食道に落ちる頃には別の感覚が広がっていく。酸味と微かな苦味。中取りらしい深みのある酒だ。
人気があるのも頷ける。





電照菊 山田錦 おりがらみ生原酒
最近全国的に人気を高めている寒菊銘醸による季節限定酒だ。Ocasiomalシリーズと銘打たれているが、どうしてそう名付けたのかは現時点では私には分かっていない。
銘柄名は電照菊。二つ種類があって今回両方入手した。どちらも無濾過生原酒だが、今回飲んだのは「おりがらみ」の方だ。
兵庫県産山田錦100%使用の50%精米純大クラス。渾身の造り込みである。
栓を開ける瞬間から元気の良さが伝わってくる。口に含んだ瞬間にピリピリプチプチ感満点だ。うーん、フレッシュの極み。感動する。ただそれだけではなく、その中でもしっかりとした旨味と酸味が口中に広がっていく。素晴らしい出来栄えのお酒だと思う。もう一種類を飲むのが楽しみでならない。



Monochrome 無濾過生原酒
エクセレント。
酸味、旨味、辛味、そして苦味の諸要素が最善のバランスで絡み合う最高レベルの美酒だと思う。深い味わいの酒だ。無濾過生らしい、舌上でのピリピリ感も心地良い。いつも書くが、あくまでも私の好みとしては、という前提だ。一番好きなカテゴリーの中では、旨味爆発の花陽浴などと比較するとやや辛味の方に寄っている。
千葉県山武市の酒蔵寒菊銘醸による限定銘柄。こちらのお酒は他の種類も飲んだ事があるが、いつも感動させてもらえる。
山酒4号という酒米使用。山田錦と金紋錦の交配種で、山形県立村山農業高校が開発したようだ。村山といえば十四代の高木酒造のある土地だ。50%磨き。
次の銘柄を飲むのがまた楽しみだ。人気が出ているようなので、転売ヤーに気づかれない事を祈る。


田光 特別純米酒 神の穂
三重県の酒蔵早川酒造が醸した酒である。私としては初めて飲ませていただく。最近、特に無濾過生原酒が評判を呼び破竹の快進撃という感じで人気酒蔵になっていると聞いた。なんとかそれを飲みたいと思ったのだが、実際に入手困難になっているらしく、取り扱い店をネットで調べ上げて手当たり次第にサイトを訪ねてもどこも完売中であった。そこで酒質を確かめるべく火入れ酒を入手してみたという訳だ。
ラベルはベーシックで案外古風。少なくとも今風ではない。55%磨きで酵母も三重のものを使っているようだ。早速飲んでみる。
やわらかい口当たりであるが、喉を通る際には切れ味もある。ああ、米のお酒だなぁ、と感嘆させてくれる。非常にバランスがいいと感じた。旨味はやや控えめ。私特有の言い方で恐縮だが、微かではあるが大好きな「粉薬」的な後味も残る。好みの酒だと思う。いくつか他の種類も試してみたい。







