2021-01-01から1年間の記事一覧

天美 純米吟醸 生原酒

第一印象はさっぱり系だが、喉を通る瞬間に華やかにぱっと膨らむ。癖も雑味もない繊細な味わいで、とても飲みやすい生原酒だ。さすがは再興からわずか一年で一気に全国区の人気を獲得した酒蔵だ。経営者にも杜氏にもただならぬ才能を感じる。 杜氏は日本酒造…

藍の郷 純米

花陽浴ブランドで全国屈指の人気酒蔵として君臨する南陽醸造。藍の郷。この酒は、その南陽醸造が造った別銘柄だ。実は、埼玉県羽生市はとりわけ明治期には隆盛を誇った藍染の産地である。 旨味爆発のいつもの花陽浴とは少し傾向が違う。辛みがやや優勢のさら…

光榮菊 幾望 無濾過生原酒

口に含んだ瞬間に適度なピリピリ感がいっぱいに広がっていく。旨味の方がやや押し気味の、酸味との絡み合い。なんと美味いのだろう。仄かな苦味も加わり、複雑な膨らみが楽しめる。この酒蔵の造るどの酒類を飲んでも私とベストフィットしていると思う。 杜氏…

鍋島 Classic 特別純米酒 白菊

佐賀県の誉れである富久千代酒造。鹿島市という、私の母方の実家がある小城市よりもさらに南西部、長崎県にほど近い有明海に面した土地にある酒蔵だ。寂れゆく地方都市、という言葉そのもののような町だが、その中でよく踏ん張ってくれていると思う。佐賀に…

川中島幻舞 信州地酒頒布会2021限定酒 無濾過生原酒

苦味と辛味の絶妙なハーモニー。後味までからっとしている。妥協がない。でありながら、「パンチ系」カテゴリーの手前で止めているのが流石だ。無濾過生原酒である。今では長野県を代表するというより日本屈指の人気銘柄の一つとなった川中島幻舞。もちろん…

悦凱陣 純米酒 阿州山田錦70% むろか生

長州藩の倒幕派が潜伏していた事で有名な、香川県は琴平町にある由緒正しき老舗酒蔵丸尾本店の造る悦凱陣。手に入れにくい酒の一つであると同時に、私個人としてはややコスパが悪く感じているので、ごくたまに飲ませてもらう感じになっている。空海ゆかりの…

榮光冨士 純米大吟醸 闇鳴秋水

定期的に飲ませてもらっている榮光冨士。私が最も愛している酒の一つだ。たくさんの種類のブランドを生み出す冨士酒造だが、どれを選んでもハズレはない。この酒ももちろん抜群に美味い。裏ラベルによれば、一年に一日だけしか出荷していない超限定酒らしい…

勢正宗

含む瞬間は比較的柔らかな口当たりだが、後口で旨味がぐっと膨らむ、稀有な個性を持った酒だ。完全にノックアウトされた。私の好みの中でも最高ランクに位置付けることが出来る。長野県中野市にある丸世酒造店の主軸銘柄勢正宗のことはずっと前から知ってい…

純米酒 黒牛 あきあがり

和歌山県海南市の酒蔵名手酒造店。黒牛はその中核ブランドだ。時々無性に飲みたくなる。今回あきあがりの純米原酒が手に入った。 原酒らしくズドンとパンチの効いた味わいだ。アルコール度数18度+。なので日本酒度+5.0だということだが、印象としてはそれ…

豊能梅 純米吟醸酒 G×A おりがらみ生酒

高知県香南市の酒蔵高木酒造の主軸ブランド豊能梅。山形は村山市で例の超人気ブランドを造る酒蔵と同じ蔵名だ。おりがらみの純米吟醸生酒。60%磨きながら、もっと高精米の最高級酒のような舌先へのざらつき感が最高だ。香りも高い。喉を通った後にかすかな苦…

十四代 在庫

溜め込んでいるつもりは毛頭ないのだが、新しいお酒を試すのを優先していたら在庫が3本になってしまった。さっさと飲んでいかないといけない。2本ある吟撰からにしよう。ただし、今年既に飲んだ酒については二度記事にはしないという決め事にしているので、…

田酒 純米吟醸 山田穂

田酒はこれまでにたくさん飲んできたが、山田穂を使ったものは多分初めてだと思う。とは言え、山田穂は山田錦の母に当たる酒米だからそれほど変わらないだろう。そう考えて、一口目からぐびりと飲んだのだが、いつもと違うという気がした。あくまでも、気が…

天青 吟望 秋おりがらみ 純米酒

神奈川県茅ヶ崎市の熊澤酒造の醸したお酒。この酒蔵のお酒を飲むのは初めてだ。 たしかに裏ラベルに記された通りに後味に個性がある。すっきりしているが、辛みと酸味、それに旨味まで加わった複雑な味わいだ。直球ではなく変化に富んでいる。ただそれほど強…

No.6 X-type

生まれて初めての経験だが、長い付き合いの酒屋の方からメールで「今回このお酒が入ったのですが購入されますか?」とプッシュの連絡をいただいた。聞くと、転売ヤーの暗躍であまりにも馬鹿げた価格で取引されているのを憂いた新政酒造の方から、販売形式に…

鳳凰美田 冷卸 純米吟醸酒

やや辛口のすっきり系。キレのいい酒だが深みもきっちり感じる。仄かな香りも美しい。トレンドに媚びたところは全くないのに人気が高いのも頷ける。多分マグロの赤身や鰹のタタキなどが一番合うだろうが、今日は餃子を焼いてしまった。それでもそのニンニク…

明鏡止水 特撰 純米吟醸 ひやおろし

明鏡止水。名は体を表す。そう表現したい。口当たりはとろりとしているが、舌の上で転がして喉にゆっくり移動させるとやや辛口のすっきりとした味わいが広がっていく。そして、私の大好きな粉薬的な後味が酸味と共に残される。数十年飲ませてもらっているが…

『俺の酒蔵』オールスターズ

九月は各酒蔵のひやおろし発売の最盛期なので、通常の冷蔵庫にも何本も収まっている。酒屋が出来そうなくらいだ。もちろん大袈裟だが。 実に心はずむ季節だ。そうこうしている間に、世に言うプレミアム酒が集まってきてしまった。先般購入した『俺の酒蔵』は…

黒龍 秋あがり

さすがは黒龍。その一言で終わりにしようかと本気で考えたくらいだ。55%磨きの純米酒。このネーミングになったのはごく最近だと思う。すっきり爽やかでありながら後味に深い余韻を残す。酸味と辛みの絶妙なコラボレーション。最近はたまにしか飲んでいないが…

純米 流輝 Melissa 一回

群馬県藤岡市の酒蔵松屋酒造。初めて飲ませてもらった。ダブルタイトルの銘柄を冠しているように見えてちょっと不思議だったのだが、多分「流輝」(るか、と読むらしい)がこの酒蔵の主軸銘柄で、Melissaとはこのお酒に限って名付けられたのだろう。ラベルに蜂…

若浪 純米吟醸 壽限無

福岡県大川市は家具の町として有名だ。フルボ酸を含むモール温泉が沸く大川温泉の湯は大変個性的で、初めて入った時には非常に感動した覚えがある。ただ田園地帯のイメージが強いので、佐賀県小城市の光栄菊同様に酒造りが行われる地としてはなかなか想像が…

伯楽星 純米吟醸 冷卸

冷おろしの季節がやってきた。今年の第一弾は、宮城県大崎市の酒蔵新澤醸造店の造る伯楽星。以前は頻繁に飲ませてもらっていたが、大震災後に飲むのは多分初めてだと思う。酒蔵が全壊して遠く離れた場所に移転しての復活を果たしたという話を聞いた。途方も…

萩乃露 肉食系純米酒 ライオン 山田錦〈生〉

滋賀県高島市の福井弥平商店による、新しい時代を切り拓くチャレンジ酒。このコンセプトは、ありそうでなかったように思う。肉食系と高らかに謳っている。ラベルに描かれたカラフルな絵は百獣の王だ。 たしかに系統で言えば攻撃系だ。ただ襲いかかってくる、…

豊香

長野県岡谷市の酒蔵豊島屋の銘柄酒豊香。頒布会用に特別に用意された酒だろう。遠くから見ると全くの無地にも見える、真っ白な地にデボス加工されたラベルが斬新だ。 独特の酸味。最初に思い浮かべたのは、ある乳酸飲料のことだった。口中で転がすとやや辛み…

墨廼江 特別純米酒

からりとした男酒。心地よい酸味とほのかな苦味と辛みが絶妙なハーモニーを奏でる。宮城県石巻市の酒蔵墨廼江酒造のお酒を飲ませていただくのは、大震災以来では初めてだと思う。被災後もこのようなハイクオリティな酒造りを成し遂げられていることに心から…

純米大吟醸 スーパーくどき上手

大好きな亀の井酒造による、改良信交なんと30%精米の高グレード酒。ただ、産み出された酒にはいつも感激させられて大好きなれど、くどき上手という銘柄名はあまり好みではない。この酒には使われていないが、たいていのお酒のラベルに使用されている浮世絵柄…

十四代 吟撰

もう四半世紀も前に、初めて十四代と出会った時に飲んだものと全く同じ酒種だと思う。ぼんやりとした記憶だが、多分ラベルも当時と変わっていないような気がする。もちろん大昔のことなので間違っている可能性も高い。 雑味なく爽やかな口当たりだ。やや辛口…

田酒 純米大吟醸 秋田酒こまち

取り寄せた利尻産の極上ウニに何を合わせるか悩んだ末に選んだのがこのお酒。 2本続けて田酒を飲んだのだが、同じ銘柄でもこれほど傾向が異なるのかと驚いた。香りからもう全然違う。華やかだ。口に含んだ瞬間にぱっと旨味が膨らむ。酸味が控えめなのでその…

純米吟醸 三ツ友恵 古城錦 田酒

古城錦シリーズの最後は田酒。西田酒造は、平素からこの酒米を使っている。過去から時折飲ませてもらっている。 いわゆるすっきり系。相変わらず「透明感」という言葉を思い出させる酒だ。控えめな酸味とこれまた控えめな辛みがベースの落ち着いた味わい。が…

純米吟醸 三ツ友恵 古城錦 陸奥八仙

三ツ友恵古城錦版二本目は陸奥八仙。南部八戸の酒蔵八戸酒造の醸した酒だ。前回のレイメイより酸味がやや控えめだという気がする。深さはあまり感じないが、心地よい粉薬的苦味が後に残る。非常に飲みやすく喉に心地よい。逆に言うとぐいぐい迫ってくるよう…

純米吟醸 三ツ友恵 古城錦 豊盃

陸奥八仙と田酒、そして豊盃という青森県を代表する銘柄を有する三酒蔵が同じレア酒米を使用して醸し、その銘柄を付けてリリースするという奇跡のコラボ第二弾。題して「三ツ友恵」。みつどもえ、と読むのだと思う。個性の比較が出来るという訳だ。今回の米…