口に含んだ瞬間に適度なピリピリ感がいっぱいに広がっていく。旨味の方がやや押し気味の、酸味との絡み合い。なんと美味いのだろう。仄かな苦味も加わり、複雑な膨らみが楽しめる。この酒蔵の造るどの酒類を飲んでも私とベストフィットしていると思う。
杜氏が流浪の天才酒職人の山本克明氏であるから、南部や河内、愛知の血が混じってはいるが、やはり小城市の酒なのだ。だから私の中に生き続ける小城市の系譜がこの味わいを引きつけてやまないのだと思う。天山酒造の七田を飲んだ時にも同じことを感じる。
酒が理由で平均より早めに鬼籍に入ることになったとしても仕方ないのだろう。そう思う。血筋なのだ。それまでは思う存分美酒を楽しみたい。