森嶋 純米吟醸 山田錦 生

以前は、かの横山大観が五浦いた頃に愛飲していたという縁から、銘柄「大観」で知られていた茨城県日立市にある森嶋酒造。ちなみに大観は日に2升3合飲み、「彼にとっての食事とは日本酒と少々のつまみであった」という、池波志乃さんのお父上である落語家の故金原亭馬生師匠の逸話にも似た桁外れの酒豪伝説を持つお方だ。だが大観には、馬生師匠始め世の大半の大酒飲みとは違う特別な生命力があり、なんと90歳まで生きたという、まさに我々日本酒飲みには神のような存在だ。もちろん印刷ものだが、我が家にも彼の絵は何枚もある。

閑話休題

この酒蔵はそういう歴史に甘える事なく、21世紀に入って以降、時勢を的確に捉えて日々イノベーションに励んでいるように思える。現社長がまだ三十歳過ぎだった15年ほど前に、南部杜氏の資格を取得したのもその例だろう。

さて飲んでみての感想だ。一つ前に飲んだ豊潤ほどではないが、口に入れた瞬間に舌先に刺激を感じる。ただし味わいとしてはとても落ち着いている。やや

辛口より。酸味は抑え気味であり、その代わりに喉を通る頃私の大好きな粉薬的な苦味が微かに広がっていく。非常に上等のお酒、という感じだ。茨城の雄として、これからも様々なトライを続けてほしい。

 

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