而今 きもと赤磐雄町 木桶 火入

ちょくちょく呑んでいる而今だが、私の印象の中でこういう地の色のラベルは記憶にない。デザインのベースは守り抜いているようでも、少しずつトレンドへの対応を試みているのかも知れない。

50%磨きの純吟クラス。
一口目から舌の上でざらつく。他に喩えが思いつかないので、表現として適切ではないのだろうなとは思いつついつも毎度同じ言い方になってしまうのだが、私がこよなく愛する「粉薬的な味わい」だ。非常にバランスが良い。酸味も旨味も柔らかく、喉から食道に流し込んだ後のえも言われぬ安堵感は流石は全国レベルのトップランカーだと思わせる。美酒と呼ぶに相応しい、風格を備えた無上の酒であった。

 

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八海山 純米大吟醸

思わず目を引く渋い赤系の背景色のラベルを見て、あゝ、八海山もこういう世界にやってきたのか、とそう思った。途切れる事なく次につないでいくためには、時代に食らいついていくのは重要だ。

いわゆる新潟酒の淡麗辛口とは一線を画す、つまりはさっぱりすっきりではなくむしろその深みに感銘を受ける類だが、それでもやや辛口系というかなり複雑な味わいだ。一口目には酸味も伝わってくる。
するすると喉奥に入っていく。日頃好んで飲んでいるタイプとは少し違うが、たまにはこうしたしっかり落ち着いた酒もいいものだ。

 

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而今 純米吟醸 吉川山田錦

久しぶりの日本酒レビュー。
開栓と同時にふわっと広がる香りがとても華やか。匂いだけで幸せな気分にさせてくれる。
いざ飲んでみると、すっと喉奥に消えていく、すっきり爽やか系のお酒。と言っても酸味は勝ち過ぎてはいない。旨味もしっかりあるから私のストライクゾーンにも入っている。タイガースの村上頌樹の投げるアウトローいっぱいいっぱいという感じのストライクだ。って、なんのこっちゃ。ど真ん中ではないという事の喩えである。ともかくは飽きなく楽しくぐいぐい飲める酒だと思う。さすがの万人に愛される人気酒だ。

 

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十四代だらけ

日本酒用の冷蔵庫「俺の酒蔵」が十四代で満杯になった。実はさらにもう一本、入りきらずに普通の冷蔵庫の野菜室に収まっている。早く飲んでいかなければならないと思いつつ、定価で買っているのでもったいぶる必要は全くないのだが何故かいつも後回しになる。そろそろ本気で処理を始めよう。シマアジでも買ってくるかな。

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花陽浴 美山錦 純米大吟醸 磨き四割 無濾過生原酒

今日がリアルな誕生日たったので、しばらく冷蔵庫在庫していた花陽浴おりがらみを飲んだ。私が最も愛する酒蔵だ。
開栓した瞬間に、思わず笑顔が浮かぶ華やかな香り。
口に含むとふんわり膨らむ旨味。最上の幸せを感じる。
これ以上のコメントは必要ないと思う。62年目の区切りに相応しい酒だった。

 

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鳳凰美田 別誂至高 瓶燗火入大吟醸酒

超久しぶりの兵庫特A産山田錦の35%磨き大吟醸という高級酒だ。ネーミングにもかなり気合いが入っている。酵母は明記されていないが、王道追求なら多分熊本9号か。ちなみにアル添酒である。

栓を開けた瞬間に鳳凰美田らしい実に華やかな香りが漂う。これだけで満足感が脳内に広がっていく。
口に含んだ瞬間はとろりとした舌触りなのだが、旨味の中に酸味が絶妙に混ざり合っているのでキレっキレである。そう言えば大吟醸酒ってこんな感じだったな、と思いだした。美味い料理と合わせるというよりも、酒そのものを楽しむべき逸品だと思う。

 

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而今 純米吟醸 無濾過生

先日の山田錦バージョンに引き続き雄町版を飲む。いつもの酒屋さんから回していただいた。

栓を開けた瞬間に漂ってくる極上の華やかな香り。ただしそれに油断して一口目からぐいっと飲んではならない。意外に攻め系の酒である。ズドンと喉に来る。舌にピリピリ感も伝わり、個性満点だ。第一印象の辛味だけでなく旨味もじわりと膨らむ。後味も複雑だが、最後はすっと消えていくような感覚を覚える。間違いなく今までに飲んだ而今の中では一番の好みである。
やはり侮りがたい実力蔵だと再認識した。

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