豊杯 直汲み生原酒 純米吟醸

生産量五百石の小規模経営ながら、青森県を代表する全国ブランドの一つである豊杯を産み出した三浦酒造。昭和に入ってからの創業と、比較的若い酒蔵だ。弘前市であるから津軽だ。わざわざそんなことを書いたのには訳がある。二十年近く前、当時のまだ年若い部下が八戸市出身で、八戸は義に厚い南部藩だが、弘前は裏切り者の津軽藩です、と口癖のように言っていたのだ。おそらく彼なら、津軽は南部杜氏とは全く関係ないです、と言うだろう。他県出身者にはどういうこだわりなのかまるで理解不能だが、青森県内にはまだ江戸の昔からの遺恨が血の中に残っているのかも知れない。彼だけかも知れないが。

そんな思い出はどうでもいい。
一口目を含んだ瞬間に感じるのは、ザ・生酒という爽やかさ。旨味ではなくスパッとしたキレで勝負の潔い酒だ。絶妙に絡み合う酸味。同じ青森県の田酒が静かで美しい酒だとすれば、この酒は攻めてくる。
大間のマグロは無理にしても、ボタンエビなどを肴にしたらさぞかし美味いだろうなぁ。また青森に行きたくなってきた。

 

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