神亀 純米酒 樽酒

久しぶりに神亀を飲んでみた。
今回開けた酒だけではなく、埼玉県に住んでいた当時居酒屋で良く飲んでいた頃からいつも思っていたのだが、香りにも、喉に含んだ一口目にも、一瞬ひねが入っているようなすえた印象を受ける。華やかさや優しさとは対極にあると言って良い。だがこれこそまさに神亀ならではの味なのだ。古いとか保存方法に問題があったという訳ではない。神亀が突き進んでいる独特の味わいである。
酸味も強めだが、それよりも苦味が大きく先行する。たまに使わせてもらっている「粉薬的」要素も濃い。他に似た味が思いつかないほどに個性的な味わいだ。ただ、私の好みかと聞かれたら頷くのは難しい。再購買するとしてもまた十年は先だろう。

このお酒は樽酒と銘打たれているのだが、個性ある味わいが覆いかぶさってくるので樽香はほぼ感じることが出来ない。クセが強くて飲み手を選ぶ難しい酒だと思う。いわば上級者向きだ。

全国数多の酒蔵に先んじてアル添を止め、生産全量を純米に切り替えたことで名を上げた。昭和の終わり頃だった。当時私の勤務地は埼玉県であり、蓮田市にある神亀酒造の横を通りかかることも時折あった。だから当時日本中に評判を高めていくプロセスのことはよく覚えている。
ただ今では全量純米の酒蔵は少しも珍しくない。パイオニアとはいえ、人気蔵の地位を維持するのは大変だろう。生き抜くべく頑張ってほしい。

 

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